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2023.05.01

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育児

今だからこそ知っておきたい、こどもの便秘 ―Vol.3―

腸がよろこぶ食べ物“食物繊維”

便秘の改善には腸を元気にすることが一番です。最後は内藤先生に、腸の健康に欠かせない“食物繊維”についてお伺いしました。
『今だからこそ知っておきたい、こどもの便秘』と題し、3回にわたりお伝えしてきましたが、お子さまやご家族の健康を考えるきっかけになれば、うれしく思います。

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内藤裕二先生

Yuji Naito

京都府立医科大学大学院医学研究科 生体免疫栄養学講座(寄附講座)教授
消化器内科医として治療や内視鏡診療にあたるだけでなく、生活習慣病の他、腸内フローラや免疫の研究を専門とされています。腸内細菌研究の第一人者としてメディアにも多数出演。書籍の執筆や講演活動など、腸と健康について常に最先端の情報を発信しています。

食物繊維の種類と働き

食物繊維には、水に溶けるタイプ(水溶性食物繊維)と水に溶けないタイプ(不溶性食物繊維)があります。それぞれに働きも異なり、どちらもバランス良く摂取することが大切ですので、食生活で意識しながら摂取してください。

― 水溶性食物繊維

水に溶けてゲル状になることで、お腹の中で便をスムーズに移動させる働きがあります。さらに、腸内の善玉菌のエサになることで善玉菌を増やし、腸内環境を整えます。
<水溶性食物繊維を含む食べ物>
果物(キウイフルーツ・リンゴ等)、繊維のやわらかい野菜(人参・ほうれん草・大根等)、芋類(じゃが芋、長芋等)、昆布、わかめ、大麦、オーツ麦

― 不溶性食物繊維

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腸内で水分を吸収し、便のカサを増やして腸のぜん動運動を促します。ただし、便が硬い時は、摂りすぎるとかえって便秘がひどくなることがあるので、控えるようにしましょう。
<不溶性食物繊維を含む食べ物>
繊維の固い食材(ごぼう・筍・レンコン等)、さつまいも、きのこ類(しいたけ・しめじ等)、豆類(納豆・おから)、乾物類(切り干し大根・干し椎茸等)

食物繊維不足はどうしたらよい?

普段の食事に、食物繊維が含まれる食材を積極的に取り入れるとよいですが、毎日のことなので難しく感じる人も多いのではないでしょうか。一般的に食物繊維が多く含まれるといわれる食べ物は、ほとんどが不溶性食物繊維で、水溶性食物繊維は多くないため、特に水溶性食物繊維が摂りづらいといわれています。
そういうときは、サプリメントを取り入れてもよいでしょう。子供にサプリメントを与えることに抵抗がある人もいると思いますが、むしろ食事だけで食物繊維が摂れず、腸内環境が乱れることの方がお子さまにとって不利益だと感じています。
アメリカなどでは子供のサプリメント市場は拡大していますし、腸内環境サポートの1つとして取り入れることはよいと考えています。
ちなみに、私は毎朝、スムージーに食物繊維のサプリメントを入れて腸をメンテナンスしています。

好循環のスタートは「発酵性水溶性食物繊維」

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不溶性食物繊維にはない、水溶性食物繊維の最大の特性は、「腸内細菌のエサになって善玉菌を増やし、腸内環境を整えてくれる」という点です。不溶性より水溶性の食物繊維の方が、「発酵性が高い」ため、腸内細菌のエサになりやすいのです。善玉菌によって、水溶性食物繊維が「発酵」することで、腸の栄養源が作り出されます。そうすると、腸内が酸性に傾いていき、善玉菌が増えやすい環境となるのです。腸にとって好循環サイクルが回り始めます。

ヨーグルトと食物繊維どちらがよい?

よく「ヨーグルト」と「食物繊維」どちらがよいの?と聞かれることがあります。
「ヨーグルト」は善玉菌をそのまま摂取して腸内の菌数を増やす食品です。「食物繊維」は、自身の善玉菌のエサとなるものを摂取して菌数を増やす食品です。どちらも腸活として有効なのですが、「ヨーグルト」のように外から摂取した善玉菌は腸内に定着しないため、摂り続ける必要があります。一方、「食物繊維」は定着しない菌をわざわざ外から摂取し続けなくても、すでに腸内に生息している善玉菌にエサを与えることで菌数が増えるので、効率的で理にかなった方法といえるでしょう。

おわりに

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脅すつもりはありませんが、慢性便秘の人は寿命が短くなる可能性があることも研究されています。気付いたときが見直すチャンスです。深く考えすぎずに、できることからお手軽に腸活をスタートしてみてください!お子さまが小さいうちから、食事や生活習慣を見直すことで、心身ともに健康な毎日を送っていただけるものと信じています。

文:太陽化学株式会社

※画像はすべてイメージです。